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第44話  休日ランチの誘い

last update Date de publication: 2026-07-25 13:00:19

日曜の朝、嵩はまだ半分眠気を引きずりながら、コーヒーを淹れていた。

そんなとき、テーブルに置いたスマホが震える。画面には「朱里」の文字。

> 「おはよう。今日、空いてる?」

突然の連絡に、嵩は一瞬戸惑う。休日に朱里から誘いが来るなんて、これまでなかった。

マグカップを片手にしながら、短く返信を打った。

> 「うん、特に予定はないけど」

数分後、すぐに返事が届く。

> 「じゃあ、一緒にランチどう?前に話してたイタリアンのお店、予約取れたんだ」

嵩の心臓が、不意に跳ねる。以前、仕事帰りに話題に出たレストランだ。軽く冗談のつもりで「いつか行けたら」と言っただけなのに、彼女は覚えていて、本当に行動に移していた。
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    公園の奥で、足音がした。砂利を踏む、控えめな音。朱里は振り向かなかった。振り向いたら、今まで積み上げてきた覚悟が、少し崩れそうだったから。「……待たせた?」嵩の声が、背中に届く。近い。でも、触れない距離。「いえ。今、着いたところです」嘘ではない。ほんの少し、早く来ただけ。嵩は朱里の横に立ち、同じように空を見上げた。視線が重ならないのが、ありがたかった。二人の間に、静かな時間が流れる。夜の公園は、思ったより明るい。街灯の光が、影を長く伸ばしている。「……ここ、覚えてた?」嵩が、ぽつりと言った。朱里は、少しだけ笑う。「忘れるわけないです。 私が一番、格好悪かった場所ですから」「俺は……一番、何も言えなかった場所だ」その言葉に、朱里の胸が小さく鳴った。(ああ、同じだったんだ)どちらも、完璧じゃなかった。だから、この場所が残っている。嵩はベンチに腰を下ろし、朱里も少し間を空けて座る。距離は、昨日と同じくらい。でも、意味は違う。「今日さ」

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